先日の勤労感謝の日は北九州芸術劇場にて「英 聖峰 追善公演」の大道具、照明、音響の仕事を任せていただきました。
今回の公演は昨年5月に永眠された宗家 英 聖峰様に追善の思いを込め、家元 英 右近様を始め英流の皆様すべてが宗家の意志を引き継ぐべく一丸となり、第一部の古典、第二部の民踊と熱気にあふれた素晴らしい踊りを披露されました。
我が社のスタッフもその公演に本当に僅かではありますが力をお貸しできたのではないかと思っています。
さて今回は日本舞踊や歌舞伎の世界では欠かせない雪(和紙で出来ています)の降らせ方と、これも踊りの会では最もポピュラーと言っても過言でない「藤娘」の仕込みの様子をお見せしたいと思います。※安物カメラと私に腕が無い為に、アップできる画像が少なく、わかりにくいとは思いますがご容赦ください(汗)
最初に雪の説明ですが舞踊で使用する雪はとても薄い白い和紙で出来ていて、大きさは1.5センチ位の四角形に裁断してあります(大昔は三角だったそうですが、現在は四角です)
雪を降らせるにはまず美術バトンに「雪かご」(竹で編んだ物や木製の角材で作った骨だけの箱に金網を張った物等があります)を何台か吊り込み、この中に雪を入れて舞台上部まで吊り上げ、引きロープと滑車を使って舞台からかごを揺らせ網の穴から雪を少しずつ落としていきます。
今回は「雪ネット」と呼んでいる舞台全面の幅がある幕を使用しました。
「雪ネット」は「雪かご」で雪を降らせた時と比べると、舞台の幅全面に絶え間なく雪を降らせることが出来てきれいなのですが、全体に万遍なく降らせるには少しばかり調整に手間がかかり、慣れた者が仕込まないと準備に時間がかかってしまいます。
降らせ方は「雪かご」と同じで舞台から引きロープを引いたり戻したりすることによって雪溜りの部分がその上部のネット部分に引き上がり網目から雪が落ちていきます。ロープを引く強さや速さによってチラチラと降り始めの雪やザンザンと降る大雪にしたりします。
日本舞踊や歌舞伎では大道具が降らせる雪と鳴りものさん(太鼓や笛等の演奏者です、三味線などの演奏者は地方さんと呼んでいます)が大太鼓をドンドンドンドンと軽くたたき続ける「雪音」によって深々と降る雪の情景を表現します。
次に「藤娘」で使用する藤の造花の吊りこみです。
藤は長さや大きさが違うものが数種類あります。これを一本一本美術バトンに吊りこんで藤棚の形を作っていきます。藤のしだれ方には一応は基本の形があるのですが、踊りの最中に立方(演者)が着替えや小道具の受け渡しの為に造花の奥にある松の大木の陰に入るので出入りの場所を作ったり、また藤棚を前後に複数列吊りこんでより一層豪華な飾りにすることもあります。
とにかく流派や演じる役者さんによって少しずつ違いやこだわりがあるので、リハーサルの段階できっちりと場所や長さを確認して手直しをします(芸の道はとても深いです)
なんか今回は少し大道具講座的で長くなりましたが、興味を持ってくれている方も結構いらっしゃるようなので、これからも機会があればやっていこうと思います。