9日の日曜日、北九州市の「ウェルとばた」戸畑市民会館で戸畑区日本舞踊協会さんが主催する邦舞の会が開催され、我が社からも大道具スタッフ、照明スタッフが裏方として参加させていただきました。
会場の戸畑市民会館ですがJR戸畑駅前のシンボルである福祉と文化の複合施設「ウェルとばた」内に客席、舞台共にコンパクトではありますが古典芸能文化を継承する最近では珍しい形のホールとして異彩を放っています。
舞台の最大間口は8間(ハチケン・約14.4メートル)奥行7間(約12.6メートル)上下の袖中の間口も3間弱ずつとあまり大きくは有りませんが(ちなみに先月伺って歩き疲れた大分のホルトホールは間口10間、奥行8間、袖中間口が上下約7間ずつくらいありました・汗)大きな特徴として舞台に盆が切ってあります。一般には回り舞台と言った方が分かりやすいと思いますが舞台中心から床が円状に切られていてその部分が回転して舞台奥と舞台前の装置を一気に転換できるようにした江戸時代から有る舞台機構の呼び名です。博多座など演劇専門ホールには今でも見受けられますが、公共の多目的ホールでは利用率が低いのでなかなか作られることが少なくなった機構です
もう一つの特徴が花道に有るスッポンです。以前にも紹介したような気がしますが江戸時代に考案された日本独自の舞台機構で、花道の七三(シチサン・花道の舞台よりに三割くらいの位置)に有る立ち方専用の小迫(コゼリ)で人間以外の精、霊、妖怪、忍術使い等の登場に使われます。この機構も現在の多目的ホールに作られることはほとんど有りません。今回は最後の演目の吉野山で静御前のお供をする佐藤忠信の登場シーンに使いました
この他にも舞台中で立ち方の出入りを昇降演出する小迫、大道具転換を昇降演出する大迫などを備えています。
先にも書きましたが、舞台がコンパクトな分、大道具の量が多いと置き場やスタンバイさせる位置にもかなり制約がかかるため、出番前の出演者や関係者の動向にも目が離せず大変でしたが、前回ホルトホールで紹介した例の携帯電話万歩計を確認すると同じ3日間合計で47,992歩でしたのでほぼ20,000歩分歩く距離が短く済みました。私のような中年親父には優しい劇場だと言えますね(笑)
今回は舞台機構の話が中心になってしまいましたが、戸畑区日本舞踊協会員の各師匠の皆様、また戸畑市民会館のスタッフの皆さん、3日間本当にお世話になりました。ありがとうございました。またの機会もぜひぜひよろしくお願いいたしま~す!