3月15日愛知県安城市民会館サルビアホールにて開催された若葉会日本舞踊公演へ大道具をトラックに積んではるばる福岡から行ってまいりました。
仕事の依頼を受けたのは昨夏の終わりのことですから、まさか日本中がこんな騒ぎになるとは思いもよりませんでしたし、正直なところ昨今の舞台業界はイベントキャンセルの嵐が吹き荒れているので、この会も中止になっても仕方がないと半分以上あきらめていたのですが、会主の藤間將之先生の、ぶれない強い思いから舞踊会が実現されました。
新型肺炎感染予防のため会場のいたるところに、おびただしい数のアルコール消毒液が置かれていたのはもちろん、一演目が終わり緞帳が下りる度に会場スタッフが客席入り口のドアを全て開放し換気を行うという物々しさでしたが全員マスクをつけたお客さんたちは最初から最後まで席を立つことなく出演者の熱演に 大きな拍手を送っていました。
今回、東京から駆けつけた長唄、囃子、後見の皆さん、また各地から結集した衣装、かつら、床山、化粧、小道具、狂言方、ビデオ、写真のスタッフがそれぞれ「舞踊会」が開かれる事のありがたみを改めて実感しました。
それでは舞踊会の模様を何曲か画像で紹介しますが、特に会主の藤間將之先生と賛助出演の 藤間勘護、藤間章吾両先生 が演じられた「長唄 蜘蛛の拍子舞」はめったに舞台でお目にかかれない演目で中年親父も長い大道具生活で数度しか立ち会っていません。内容をごく簡単に説明すると土蜘蛛(女郎蜘蛛)の精が白拍子という舞女に化けて源頼光をたぶらかそうとするが見破られて土蜘蛛の姿に戻り大立ち回りになるという話です。曲の途中で演じられる拍子舞(長唄の三味線に合わせて立ち方がそれぞれ唄いながら踊ります)も他の舞踊にはない見せ場です。また小道具の蜘蛛が舞台を這い回ったり、刀を盗もうと吊り上がったりするのも見ていて面白いですし、それから何といっても立ち回りで土蜘蛛が頼光や貞光に投げつける糸や幕切れに舞台全面に振り落ちる糸は見ものです(投げるのが一個〇千円で全面振り落とし分は〇十万円と高価なので本番一発勝負になり失敗が絶対に許されません!今回任せた大道具スタッフは緊張でガチガチでした・笑)
若葉会関係者の皆さん今回の舞踊会開催は困難な事が多過ぎて凄く大変だったと思います。本当にお疲れさまでした。また九州から初めて乗り込んで来た私たちを温かく迎え、お手伝いくださった安城市民会館のスタッフの皆さん、ありがとうございました。福岡から安城までトラックで9時間かかりましたが楽しい思い出になりました。
しかし福岡までの帰りは大変な道のりでした(苦笑)