先月の仕事だったんですが、紹介が遅れてしまいました。
1月20日に唐津市民会館にて花柳三祐先生の師籍50周年を記念する「花祐会舞踊会」が盛大に開催されました。
三祐先生は唐津を中心に花柳流の発展に長年貢献され、たくさんのお弟子さんたちを育て続けておられます。
当日も一門を始め各地から花柳流の師匠たちが大勢応援に駆け付けられました。
番組も50周年を記念するにふさわしい豪華な内容でしたので、我が社もトラック3台満杯の大道具を持ち込み、何とか花を添えることが出来たのではないかと自負しておりますが、舞台裏は、いつも以上に大変でした。
それというのも最初につまづいたのが仕込み日の金曜日、前日からの大雪で福岡からの有料道路が通行止めになってしまい、普段なら1時間弱で到着するところを一般道の大渋滞で3時間近くかかってようやく唐津まで着きました。
急いで搬入に取り掛かったのですが、大道具のセット量が多すぎて、舞台中に溢れ返ってしまいました。
唐津市民会館の舞台袖は、お世辞にも広いとは言えないし、トラックを付ける搬入口周りがとても狭いのです(唐津市民会館の皆さんゴメンナサイ、スルーして下さい)
何とか段階的に搬入しつつ、仕込みに取り掛かりましたが朝の遅れと仕込み量の多さから、この日中に全てのセットを仕込み終わることが出来ず、翌日に持ち越してしまいました。
通し稽古は翌日のお昼からだったので何とかなるだろうと思っていたのですが、結果的には判断が甘く反省点として残りました。
翌土曜日、ようやく仕込み終わったセットを格納する場所が袖に確保できず、通し稽古の時間になっても上手、下手の舞台袖内を立ち方(踊り手)さん達が通ることすら困難な状況が発生してしまいました。
急遽、市民会館の役所側に交渉しトラックの駐車場を他に作っていただき、搬入口の外(屋根も無い野外です)に稽古順が後の方のセットを大急ぎで運び出し、舞台袖内を何とか人が通れるようにして稽古を開始出来ました(もちろん夜は建物の中に取り込むのですが、大雪の後の3日間の天気が何とか回復してくれたのが幸いしました)
それでも上手の舞台袖内は「本朝廿四孝」のお社のセットで完全にふさいでしまい通し稽古の間はかなり不便をかけてしまいました。
本番当日は「本朝廿四孝」が番組前半にあったので演目終了直後から舞台袖内で音をたてないように慎重かつ迅速にバラシ(=分解=撤去)終わり、その後はかなり楽になりました(苦笑)
舞踊会最後を飾ったのが三祐先生扮する稲荷大明神が刀工小鍛冶宗近を助け名剣小狐丸を作り出すという能を題材とした舞踊「小鍛冶」です。
今回は通常の義太夫による二幕の間に長唄による間狂言が入るという私も初めて体験する三杯飾り(三景)で行われました。狭い舞台と、この人数でよく転換できたなと思うほどの忙しさでしたが外連味(ケレンミ)のあるとても面白い作品になっていたと思います。
今舞踊会は本当にいろいろ困難なことがあり、連日朝から晩まで大変でしたが三祐先生の人徳で集まった皆さんの力が見事に結集され見応えのある本当に素晴らしい舞台が出来たのではないかと感じました。