今日は前原舞台総合研究所に数ある電動工具の中でも私が一番のすぐれものだと思うルーターを紹介します。ルーターとは正式には「NCルーター」というみたいですが、あらかじめコンピュータに入力したデータを寸分の違いも無く、全自動で木材やアクリル等に彫刻、切断、穴加工してくれます。
その作業は見ているだけで本当に楽しくなっちゃいますよ。まるでターミネーターなんかに出てくるロボットのように小さな唸りを上げて右へ左へすごい早さで動いて材料を加工していきます。
この機械を導入するまでは大道具の切り出し(立ち木や岩などをベニヤ板で作ったパネル)を作るときにはカッターナイフで一つ一つ手作業でベニヤ板を切断していました。絵柄が複雑になればなるほど大変な作業で「唐草模様」とかだと切る前からため息をつき手に豆を作りながら切っていたものです。
中年親父に言わせるとルーターのおかげで確かに作業効率は格段に良くなりましたが、その分、若い大道具さんは現場で急な追加の作りものなんかが出た時にルーターが無いので大変だろうなとは思いますけど(苦笑)
後もう一つルーターのすごい所は、例えば博多座の舞台いっぱいに巨大な変形ステージを製作する場合等に以前だと舞台総合研究所の製作場部分(博多座のステージ以上の大きさが有ります)の製作中の物を全部片付けてから厚い合板を敷き詰めていきます。 その上に碁盤の目のように墨を入れてから絵描きさんが道具帳(舞台の設計図)を片手にフリーハンドで形を下書きした後、一枚一枚ジグソーで切断していました。
それが今ではルーターのコンピューターに道具帳のデザインをデータとして入力すればルータの本体上に合板を一枚一枚置いてあげるだけで巨大な形が分割されて切断されてくれるんです。これはかなりすごい事だと思いますよ。
ルーターのすぐれた所だけ紹介しましたが、実はあっさりと書いたコンピューターへ入力するデータの作成が一番難しいのです(汗)
しかし我が研究所のMさん(女性です)がそのプログラミングにすごい才能を発揮してくれて、複雑なデザインもサクサクとデータ化してくれています。(その実力にルーターを設置したメーカーのプログラマーまでが唖然としていたとか)
と言うわけで今回はちょっとマニアックではありましたが、すぐれもののルーターとMさんの紹介でした。
※NCルーター テーブル、主軸の移動を数値制御(NC=numerical control)により行ない、工作物を加工する木工フライス盤。 |
刃物軸やテーブルを希望通りに動かしているのがNC装置で、加工形状を数学的に分析したさん孔テープをセットし、その穴を通してくる光を光電管で読みとって機械に送って加工する。 |